「無一物(むいちもつ)」は、文字どおりには「ひとつも物がない」という意味を持つ言葉です。禅の世界では、物質的な所有だけでなく、執着やこだわりなど、心に抱えているものを手放した状態を表す言葉として用いられてきました。「無」は、単に何も存在しないことを意味するのか。あるいは、何かを手放した先にある状態を意味するのか。「無一物」という三つの文字を通して、そこに何を見るかは、人それぞれに委ねられています。